このページについて
七河迦南のミステリ小説、〈七海学園〉シリーズに関する(主に自分用の)覚書です。
「〈七海学園〉シリーズを読む順番」セクションまではシリーズに関する自分の持つ基本情報を整理した内容になっています。
「〈七海学園〉シリーズってどんな小説なの?」「〈七海学園〉シリーズってどの順番で読めばいいんだろう?」と思ってこのページに辿り着いた人は、このセクションまでを読んでもらえれば参考になるかと思います。
それ以降のセクションに、〈七海学園〉シリーズに関するネタバレありの解説を書く予定です。(現時点では書いていないので特に意識しなくて大丈夫です。)
〈七海学園〉シリーズについて
〈七海学園〉シリーズは、作家 七河迦南によって書かれている児童養護施設を題材にしたシリーズ物の推理小説シリーズである。
2025年12月現在、以下3作品が〈七海学園〉シリーズとして刊行されている。
- 七つの海を照らす星
- アルバトロスは羽ばたかない
- わたしがいなくなった世界に
また、下記2作品は〈七海学園〉シリーズと明記されてはいないものの、上記3作品と世界線を共有しており、かつ互いに強い関わりがあるため、本ページではこれら5作品をまとめて〈七海学園〉シリーズと呼ぶ。
- 空耳の森
- 刹那の夏
〈七海学園〉シリーズの特徴
シリーズを通して七海学園という児童養護施設を舞台としている。主な登場人物はそこに勤める保育士とそこで暮らす子供たちである。
児童養護施設を舞台にしているため、なんとなく「”可哀想な子供たち”をテーマに感動させようとしてくるんでしょ?」と斜に構えてしまいそうになるが、実際はそんなことはない。
子供たちのダークな部分も描写するし、最後まで救われない子供も出てくる。後味の悪い作品も当然ある。
軽率に感動的なご都合主義に逃げず、現代社会の抱える「家庭では暮らせない子供たち」の実情を、推理小説という媒体を介して書き切ろうという熱意が感じられる。
また、アナグラムや回文といった言葉遊びが、物語の核心から細部まで至る所に散りばめられており、一種の清涼剤のような役割にもなっている。(これはシリーズの特徴というよりは作者の著作全体の特徴ではあるが)
作品構成、という意味合いでの特徴を言えば、
- 七つの海を照らす星
- アルバトロスは羽ばたかない
- わたしがいなくなった世界に
の3作品は長編(連作短編集)であり、比較的小さな謎を一つずつ解いていくことで最終的に大きな謎が解ける、といった構成になっている。
- 空耳の森
- 刹那の夏
の2作品は短編集であり、上記3作品の補完的な意味合いを持つ作品が多く収録されている。
〈七海学園〉シリーズを読む順番
以下の通り、刊行順でに読むことを強く強く推奨する。
- 七つの海を照らす星
- アルバトロスは羽ばたかない
- 空耳の森
- 刹那の夏
- わたしがいなくなった世界に
というのも、長編3作品は明確に作中で時間経過しており、既刊作品の既読を前提に、時系列に沿って物語が進むからだ。
『わたしがいなくなった世界に』を読んだ後では『アルバトロスは羽ばたかない』の終盤のカタルシスが得られないし、『アルバトロスは羽ばたかない』を読んだ後では『七つの海を照らす星』の解決編の魅力が激減する。
では『空耳の森』『刹那の夏』はというと、これらの作品の時系列は本編の数年前〜十数年後までバラバラである。だからと言って、変な順番で読むことは推奨しない。これら短編集は、既刊作品(主に直前作)で残されたままとなった謎を補完したり、次回作への伏線が張られたりしているため、変な順番で読むとそれらの面白さを享受できない可能性が高い。